サイト分析のプロセス
要件や課題が明確な場合は、Googleアナリティクス等で該当するレポートや機能を使用すればよいが、はじめて分析をする場合などは、そもそも何が課題なのかわからない状態からスタートします。
何が課題なのかわからない状態ではGoogleアナリティクスの使い方を学んでも「点」での理解となり、サービスの課題発見や改善案の検討に繋がりません。
「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本を参考に分析のプロセスをまとめます。
- ヒアリングの実施
- 対象サイトの理解
- 分析方針の整理
- 解析ツールの設定確認
- データ取得と加工
- 気付きからの施策検討
- 資料作成
1. ヒアリングの実施
分析に入る前に対象サービスの担当者と責任者にヒアリングを行う。
ヒアリングの目的は「分析と試作でどこまでできるのか範囲を把握する」こと。
以下、ヒアリング項目例
- ビジネスと対象サービス
- 対象サービスのビジネスモデル
- 対象サービスの想定カスタマー
- 対象サービスの想定カスタマーに提供している価値
- ベンチマークサイトの有無と差別化ポイント
- 対象サービスの変遷(リニューアル等)
- 分析対象範囲
- 分析対象デバイス
- 集客施策と利用目的
- 目標とKPI
- 対象サービスの目標とKっぁい - 対象サービスの目標とKPIの設定理由
- 対象サービスの目標とKPIを達成する上で抱えている課題
- 改善優先順位が高いKPI
- 改善優先順位が高いページ
- 解析ツール・施策
- 導入解析ツール
- 対象サービスに行ってきた施策と結果
- 施策の実行プロセス
- 施策を行うことが仕組み的に難しいページや機能
- 予定しているサービスの大きな変更
- 検証環境の有無
- 本番環境利用の注意点
- 分析時の計測除外設定の有無
2. 対象サイトの理解
ヒアリング後、アクセス解析ツールにログインしてデータを見るのではなく、対象サイトの理解をするためにユーザ視点とアナリスト視点の二つの視点でサービスを利用する。
まずユーザになりきってサイトを利用し、感じたことをひたすらメモする。
ユーザ視点から気付きを羅列していき、次のステップである分析の仮設だしの材料にする。また同業他社がいる場合は、同じような形で同業他社のサービスを利用して、気付きを出していく。それぞれのサービスの良いところ、悪いところを見つけやすくする。
アナリスト視点ではユーザ視点と同じタイミングで実施する。各ページでユーザインターフェースやコンテンツなどが気になる部分を列挙していく方法で行う。この作業も仮設出しに役立つ。
また同時にURLとページ内容の対応表も作成する。
ユーザ視点とアナリスト視点の二つの視点でサービスを利用し、サイトの理解を進めると同時に、「分析のポイント」を発見する。ここで得た気付きや理解が、後の分析を効率化し、精度を上げる。
全てのレポートを上から見ていくのではなく、仮説を元にどのレポートを見るか決めて、そこから仮設検証をしていくというアプローチを行うのが大切。
3. 分析方針の整理
前ステップで仮設出しが出来たら、アクセス解析ツールなどを活用してどのように検証するか考える。 このステップでは、シンプルに仮設に基づき、どのデータを確認するか箇条書きで書き出す。
分析方針の整理例
仮設 | 分析ポイント | 活用方法 |
---|---|---|
ランキングが全てのページで、目立つところに配置されている。 | ランキングページの利用人数・遷移元・遷移先・他の探し方と比べたコンバージョン率の違い。 | ランキングの配置場所やどれくらい誘導を強化する必要があるかの判断する。 |
商品ページの複数箇所にカートページのリンクあり。 | どのリンクが最も利用されているかの調査を行う。ヒートマップツールを導入しているので合わせて確認する。 | 最適なボタンの位置を検討し、ABテストで判断を行う。 |
トップページのコンテンツが多くてナビゲーションが出来ていないのでは? | トップページの滞在時間、上記の遷移先を確認。またトップ⇒遷移先別のCVRを確認する。 | トップページの例やレイアウトやコンテンツ量の見直しに役立てる。 |
分析方針が整理出来たらサイト全体の基本的な数値をアクセス解析ツールで確認する
主に以下の5つのレポートを中心に確認する。
1. 時系列の訪問やコンバージョンの傾向を把握する
直近数年の重要な指標を時系列で確認する。訪問者・訪問回数・ページビュー数・直帰率・コンバージョン・新規率などの基本データを月、週、日単位で確認する。
全体的な増減、季節的なトレンド、そして想定外かつ急激な増減の把握が目的となる。データを分析する上で、訪問の特徴を把握することは分析範囲を決めるうえで参考になり、急激な増減があった期間はその原因を探ることで改善案につながる。
2. 流入元ごとに推移を把握する
流入元ごとの流入数やコンバージョンへの貢献を確認する。どの流入元からのアクセスが多いのかなど。まず一番大きい単位(Googleアナリティクスでは「チャネル」単位)で数値を確認し、そこから変化があればさらに内訳(例:ソーシャルメディアやキーワードごと)を確認する。